一人暮らしの防犯対策
一人暮らしをする際、様々な手続きや引っ越しの準備などとあわせて確認しておきたいのが防犯対策です。特に最近は全国的に強盗や空き巣被害が多発しており、防犯の重要度がさらに増しています。
実家など同居人がいる場合は家族の誰かが防犯対策をしてくれるかもしれませんが、言うまでもなく一人暮らしの場合は自分以外には誰も対策してくれません。自分の家や自分を守るのは、正真正銘自分だけになります。したがって一人暮らしの場合はより高い防犯意識を持つことがとても大切です。
最近一人暮らしを始めた方も、これから始める方も、すでに一人暮らしをしている方も、事件に巻き込まれないために一人暮らしで手軽にできる対策を確認しましょう。
一人暮らしを狙う犯罪例
今からできる防犯対策
防犯グッズを使用する
まとめ
宅配業者、点検業者、隣人を装いドアを開けさせて無理やり玄関に押し入ったり、帰宅時にあとをつけられ玄関ドアを開けた瞬間に押し入るなど、あらゆる方法で玄関を開けさせて金品を奪う強盗です。金品の略奪のほか、傷害や殺人事件、性犯罪に繋がるケースもあります。昨今では広域的な組織犯罪や、それを模倣した単独犯による強盗致傷事件が全国各地で多発しています。
家が留守になっているときを狙って侵入し、金品を盗み取る犯罪です。法務省の犯罪白書(令和4年度版)による侵入窃盗の認知件数37,240件のうち、11,166件は空き巣の手口による犯行です。最近はコロナウイルスが収束しはじめ、会社への出勤や外出が多くなることもあり、より注意が必要です。
どちらも家主が在宅中に侵入して金品を盗み取る犯罪です。家主の隙を見て侵入するのが居空き、家主が就寝時に侵入するのが忍び込みです。空き巣と違い「家主が家にいる」ことが特徴になるため、窃盗のほかに、ストーカーによる犯行も考えられます。発生件数自体は空き巣の3分の1ほどですが犯人に鉢合わせると命の危険に繋がる可能性があるため非常に危険です。
金品の強盗や窃盗とは違う犯罪ですが、上記のような空き巣、居空き、忍び込みの手口を利用して家に盗聴器や盗撮カメラを仕掛けられる事件もあります。または引っ越し前から仕掛けられているケースもあります。盗聴盗撮は個人的な会話や情報を知られてしまうだけでなく、それによって得た情報を利用し強盗や窃盗に及ぶ恐れも考えられます。
住居侵入経路で最も多いのはドアや窓の無締まり、つまり家主が鍵を掛けていなかったがために侵入されてしまうケースです。警視庁のデータ(令和4年)によると、共同住宅での無締まりにおける侵入割合は3階以下の建物で51.5%、4階以上の場合は40.6%といずれも約半分近い割合で、いかに戸締りが重要かが分かります。
コンビニなどに買い物に行く際も、短時間だからといって油断することなくしっかり戸締りをし、居空き、忍び込みに遭う可能性がありますので、在宅中も極力ドアや窓の無施錠は避けましょう。
単純に部屋干しにすることで下着泥棒を回避できるということもありますが、ベランダで洗濯物を干すと衣類の数や見た目でどんな人物が何人住んでいるかが筒抜けになってしまいます。また、干している時間帯によって家主の生活リズムを把握される危険も考えられます。
突発的な犯行でない限り、犯罪者は楽に犯行に及べるように入念に情報を仕入れるため、洗濯物で得られる情報も犯罪者が寄ってくる恰好のエサになってしまいます。
また部屋干しを活用するのが望ましいですが、どうしてもベランダに干す場合はダミーの衣類を干してカモフラージュしたり、決まった時間に干さないよう注意する必要があります。
郵便ポストには個人情報などが一目で分かる書類などが送られてきます。先程挙げた通り情報は犯罪者の餌食になるため、いつまでも取り出さないまま溜めていると盗み見られてしまう危険性があります。
また、空き巣の場合は郵便ポストに見慣れない数字や記号を書かれる「マーキング」をされることがあります。マーキングは知らない人にはただの数字や記号の羅列にしか見えませんが実際は暗号になっており「M=男性」「S=一人暮らし」など、空き巣がしやすくなるような情報は記載されているため、常日頃から自分郵便ポストをよく確認しておきましょう。
物が散らかっていると居空きに遭ったり、盗聴器や盗撮カメラを仕掛けられた場合、死角が多く犯罪者の存在や見慣れない物体に気付くことができなくなってしまいます。こうした犯罪に気づくことができずにみずみす犯人の侵入を許してしまうと、今後侵入しやすい家と判定されてしまいます。犯罪者を家に入れないよう、もしくは万が一侵入されてもすぐに気づけるよう、日ごろから部屋を掃除して、怪しいものがないか、変わったことがないかを確かめることはとても重要です。
また、すでに盗聴器や盗撮カメラが仕掛けられているか不安な場合も、まずは部屋を整頓し、身に覚えのない物を洗い出してみましょう。
ドアを開けたときに背後から押し込まれて強盗に遭うのを防ぐため、ドアを開ける前に周りを確認することはもちろん、自分の家を特定されないために帰宅途中も周りに不審な人物がいないかよく注意を払って歩きましょう。
もし不審な人物を見かけたら遠回りをしたりタクシーを利用して帰宅する、交番または人の多い商業施設に逃げる、知人や家族に連絡を取って助けを呼ぶなど、決して普段通り帰宅しないようにしましょう。家を知られてしまうとその後もストーカーされたり、帰宅時間を窃盗犯に知られるため、素早く家に逃げ込むのは安全ではありません。
チャイムが鳴ったからと言って二つ返事でドアを開けるのは非常に危険です。モニターやスコープがある場合は必ず誰が来たかをあらかじめ確認してからチェーンをかけた状態でドアを開け、まずは相手の用件を聞きましょう。
また、犯罪者は宅配業者や点検業者に装ってくることもあります。通販で注文する場合は配達予定日時を指定する、点検業者などの来訪予定は日時をしっかり覚えておき、できる限り来訪予定者を把握しておくのも防犯になります。
部屋に誰もいなくても、あたかもいるかのようにカモフラージュしましょう。
洗濯の話とも共通していますが、自分以外には誰も住んでいないこと、一人暮らしだと悟られないことは非常に重要です。押し入り強盗にしろ、空き巣や忍び込みにしろ、中に誰かいるのか・・・と思わせる些細なカモフラージュだけでも牽制になり、あらゆる犯罪のターゲットから外れやすくなります。
何時に家を出て何時に帰る、どこに住んでいる、一人で住んでいる、など必要以上に自分から生活に関する情報を漏らさないようにしましょう。知人やネット友達など知っている間柄でも、ストーカーや盗聴盗撮といった犯行に及ぶ可能性があります。また、最近ではネットを介した「闇バイト」が横行しています。もし知り合いが人知れず闇バイトによって犯罪組織に加担していた場合、自分の情報も横流しされてしまうかもしれません。そういったことから、一人暮らしに関する情報に限らず、自分のプライベートの話をするのは家族や親しい友人のみに留めるのが安全です。
防犯グッズの使用は周りへの防犯アピールになるほか、窓やドアなどを突破されたり、家に侵入されないための物理的な対策を講じることができます。
あまり防犯にお金を掛けたくない場合でも簡単に入手できる防犯グッズがありますので、ぜひ活用して防犯を強化しましょう。
防犯ブザーは手軽で携帯しやすい最も身近な防犯グッズです。広く知られている通り音が出るというシンプルな効果ですが、不審者に後をつけられたり、鉢合わせたときは恐怖で声が出ないということもあります。防犯ブザーは自分の代わりに声を上げてくれる強力な味方です。
防犯グッズの代表格というだけあり、種類は多種多様です。なかには「助けてー!」などの音声入りや、耳をふさぎたくなるほどの大音量の防犯ブザーもあります。性能に特化した防犯ブザーが好ましいですが、常に持ち歩く物ですので、オシャレじゃないから持ち歩きたくない・・・とならないようにデザインも含めてお好みの商品を選ぶのが良いです。
防犯におけるもうひとつの代表格が防犯カメラです。もはや知らない人はほぼいない防犯グッズですが、工事が必要な本格的で値段が高い機種を想像される方が多いです。
しかし防犯カメラは性能や機能にとことんこだわりを持っているわけでなければ安く手軽に購入することができます。
防犯カメラは知らないうちに家に不審者が入っていないかどうかを確かめることができます。また、防犯カメラは見ただけでカメラだと分かる物が多いため、設置してあるだけで犯罪者を牽制する効果もあります。もちろんもし被害に遭った際は証拠として使用することができ、犯人の特定に繋がりやすいです。
1つのドアや窓に対し、2つ以上の鍵が付いていることをワンドアツーロック、ダブルロックと言います。本来備え付けてある鍵に加えて補助錠を付けてワンドアツーロックにすることで、より防犯性が高くなります。鍵が増えると侵入時の手間が増えるため、下見の際にターゲットから外れやすくなります。また、もし侵入を試みても、時間が掛かり侵入を断念する可能性があります。
家に入るには原則ドアか勝手口か窓から入るしかないため、そういった場所の防犯はより強固に行う必要があります。
防犯センサー、センサーライトどちらも人を感知する防犯グッズです。
防犯センサーは音やライトで来訪者をお知らせし、センサーライトはその場でライトが点灯して牽制します。
犯罪者は目立つことを非常に嫌うため、音や光がある場所には近づかない傾向があります。防犯センサーは室内にいる家主に来訪者の存在を知らせてくれるため、把握しにくい居空きや忍び込み対策に適していますが、開閉センサーや赤外線のビームセンサーなど様々な種類があるためあらゆる状況に対応できます。センサーライトは居空きや忍び込みだけでなく、強盗、空き巣、その他不審な人物への牽制にも使用できます。
盗聴器や盗撮カメラがあるかどうかは専門の発見器で調べることができます。調査業者に依頼する場合は数万円以上の費用が掛かることがありますが、盗聴盗撮発見器であれば個人の方でも購入しやすいリーズナブルな機種があるため、気軽に調査することができます。
特に身に覚えがない場合でも、外出時に侵入して盗聴器やカメラを仕掛けられていたり、思わぬ知り合いや知人が遊びに来たときに仕掛けていたり、賃貸物件の場合は前の家主が仕掛けられていたという場合もあるため、一度調査してみることをおすすめします。
予算の関係などでもう少し手軽に済ませたい方はダミーカメラや防犯ステッカーがおすすめです。実際に防犯カメラで撮影していなくてもあたかもそうであるかのように見せかけて犯罪者を牽制することができます。
もしくはダミーカメラや防犯ステッカーと一緒に防犯カメラを設置すれば、防犯カメラの存在感がより増して強力な防犯になります。たかがダミーですが、されどダミーです。こういったダミーの防犯グッズでもまったく設置していないのとでは大きな差があります。
防犯は「いざ事件に巻き込まれたときの対策」である以前に「事件に巻き込まれないための対策」です。事件に巻き込まれないために必要なこととは、いったいなんでしょうか?
それは、自分自身が防犯意識を強く持って対策、行動することです。今回挙げたようなことを行うことで、「ちゃんと防犯に気を付けているから狙いにくい」と犯罪者に思わせることができます。よっぽどのことがない限り、防犯している人よりもしていない人の方が楽に狙いやすいため、意識を持って少しでも対策するだけでも犯罪者のターゲットから外れやすくなります。
意識を持つだけでも大切ですが、犯罪者に上記のように見られるには、目に見える行動や、防犯グッズの存在による防犯アピールがより重要です。
今回挙げたように、一人でも出来る防犯はたくさんあります。
自分で自分の身を守るために、犯罪者のターゲットから外れるための対策や行動を心がけましょう。