撲滅!外食・小売り店の迷惑対策
SNSが発達し多くの人が「映え」を虎視眈々と狙う現代では、ただバズりたい(多くの人に見てもらいたい)がために飲食店や小売店で目を疑うような迷惑行為をしてSNSにアップし炎上するケースが多発し、「客テロ」「外食テロ」といった単語まで作られるほど問題になっています。数々の迷惑行為がSNSにアップされて世界中に広まることでたびたび議論になったり、模倣犯が相次ぎ、被害店舗ひいては業界全体への風評被害など甚大な影響が出ています。
そこで今回は企業・店舗側が迷惑行為を防ぐための対策や、もし起きてしまった場合の解決策を、防犯カメラ・証拠撮影用のカメラを専門に扱っている専門店として解説します。
実際の迷惑行為例
迷惑行為は客だけではない
企業・店舗への影響
「テロ」のその後は?
企業・店舗の対策
まとめ
下記は実際に飲食店、小売店、テーマパークなどで起こった迷惑行為の一例です。
どのケースを見ても、「面白そうだから」「ウケると思った」「バズりたかった」という目先の面白さや一時的な動機で行われることがほとんどで、最初から店に迷惑をかけてやろうという気がなく、面白そうなことを試した結果、店や周りに迷惑が掛かるという流れになっています。
・他人の注文した寿司を先に盗って食べる、勝手に調味料をかける
・醤油さし、紅ショウガなどの共用オプションに口をつける
・食べきれない量の食事を注文して大量に残す
・使用済みのつまようじをケースに戻す
・商業施設のトイレで火災報知機をわざと誤作動させる
・ホームレスに「商品をおごる」と話を持ちかけて買い物させ、会計直前に逃走する
・某テーマパークの花壇の花を引きちぎり、撮影したあと捨てる
最近は客から店への迷惑行為「客テロ」「外食テロ」が問題になっていますが、今から約10年前、2013年頃には「バイトテロ」が社会問題になったことがあります。
バイトテロとは文字通り、アルバイト・従業員が職場で不適切な行為をしたり、その行為をSNSにアップする客テロと同じような迷惑行為です。動機も同じように目立ちたい感情や、ちょっとした悪ふざけです。ちなみに検索エンジンでバイトテロを調べると、最近のニュースも出てきますので、客テロと同じく今も続いている問題と捉えていいでしょう。
・ピザ店のシンクや冷蔵庫に入る
・蕎麦屋の食洗器に寝そべる
・食材をゴミ箱に捨てたあとまな板に戻して調理
・アイスケースに入って寝そべる
・コンビニのおでんを口に入れて吐き出す
SNSにアップされる迷惑行為は不衛生、非道徳な行為ばかり。その場にいて自分が巻き込まれたり、人が口をつけたものをもし自分が知らずに使ったらと思うと・・・たとえ悪いのが企業や店舗ではないと分かっていてももうその店に行きたくないと思う人は多いでしょう。
イメージが落ち、店に行きたくない人が増え、客足が途絶えれば当然次の経済的な損害に発展します。個人店や中小企業は客足が途絶えれば閉店まで追い込まれ、大規模なチェーン店であれば他店舗、系列会社、最悪業界全体のイメージダウンにつながります。
迷惑行為の動画がアップされ、拡散・炎上した某回転寿司チェーン店では動画の影響で来客、売上が大幅に減少しました。また、運営元の株価も急落し多大な経済的損害が発生しています。また、失った信頼を取り戻してお客さんに来てもらう、もう迷惑行為をさせないためには本来必要のないはずだった新たな設備や備品を導入する企業も少なくありません。そういった意味でも客テロ・バイトテロを起こされた企業には少なからず経済的な損害が発生します。
迷惑行為は運営だけでなく従業員にまで影響を及ぼします。例えば迷惑行為に被害に遭った共用設備や備品の入れ替えや掃除、新しくルールを導入するのであればルールの制定、周知、チェック体制などの業務が増えます。お客さんに安全に利用してもらうために企業や店舗は安全安心を遵守しているのに、迷惑行為を行う人たちによって本来は必要のないことまでやらなければならなくなります。
また、投稿が炎上すれば多くの人の目に止まるため、それにともなうクレームや問い合わせ対応も迷惑行為によって発生した本来であればないはずの業務と言えます。
客テロやバイトテロは損害賠償の対象であり、迷惑を被った会社、店舗、被害者に対する損害賠償責任が発生します。その金額は数十万〜数百万円、場合によっては数千万円と言われています。特に迷惑行為が目立つ現在は「若気の至り」だと許してくれることが減り、謝罪を拒否して警察に相談したり、法的処置で対応する企業も増えています。
実際に和解を成立させてしまう、つまり謝れば許してくれるケースを作ると模倣犯が増えることが考えられ、更に企業や店舗、ひいては業界のイメージを損なってしまいます。ひとつの「テロ」によって倒産、閉店に追い込まれることもあることから、厳しく対応するのは当然と言えます。
また、他の客の寿司を勝手に食べれば窃盗罪、冷蔵庫に入ったり醤油さしを舐めまわして衛生的に使い物にならなくなれば器物損壊罪、そうした迷惑行為を動画にしてSNSどにアップすれば業務妨害罪、偽計業務妨害といった犯罪に問われることもあります。
自業自得ではありますが、炎上した結果加害者が世間からバッシングを受けたり、今後の就職活動が厳しくなったり、損害賠償金によって生活が苦しくなることもあります。
一時的な感情だけ行うにはあまりにも大きい代償が伴いますが、それでもなくならない、やめられないのが客テロ、バイトテロの恐ろしいところです。
迷惑行為の被害に遭うのは大手企業が目立ちますが、個人経営の店舗や中小企業も例外ではありません。実際に個人経営だった蕎麦屋はとある一人のバイトによる迷惑行為で閉店に追い込まれているように、「テロリストたち」は面白さとバズるためなら場所を問わずに迷惑行為を繰り返します。
いずれ来るかもしれない客テロ、バイトテロに店を潰されないようしっかり対策をしましょう。
防犯カメラは強盗といった凶悪な犯罪行為の抑止にも使われるように、客テロなどの迷惑行為やクレーマー対策にもなります。いざというときに証拠が残るだけでなく、設置してあるだけで非常に目立つため、そこで迷惑行為や犯罪行為がしにくい空気を作り出します。ですので防犯カメラを利用する際はできるだけお客さんに見える目立つ位置に設置しましょう。また、防犯ステッカー、防犯プレートと一緒に設置すると防犯カメラの存在感をさらに際立たせることができてさらに効果的です。
防犯カメラの映像はいざ迷惑行為をされたときに非常に有利な証拠になるため、抑止効果と証拠効果どちらの側面から見ても設置するべきものです。
防犯カメラの設置も非常に重要ですが、人の目による監視は非常に重要です。客テロが起きるのはシステムの機械化、省人化が要因のひとつとも言われています。
いくらバズりたいからといって軽々しく迷惑行為をする人も店員の前で堂々と迷惑行為をすることはあまりないはず。定期的に店内を巡回する、もしくは怪しい人物がいればその時間帯の巡回を強化して対策しましょう。お客さんに過度に威圧感を与えたくない場合は掃除がてらに回るのも良いでしょう。
お客さんへの声掛けも有効的です。怪しいから声を掛けるだけではなく、飲食店であればお水のおかわりや、食事が済んだ食器の回収、小売店であれば困りごとがないかなどがいいでしょう。本来は万引き対策に効果的な手段で、声掛けがあるだけでお客さんは店員を意識するため、迷惑行為を抑止する効果に期待できます。
飲食店限定ですが、よく言われている対策でそもそもテーブルに醤油さしなどの共用備品を置かない手もあります。昨今の共有備品の被害状況から見るに、使い回せる備品ではなく、できるだけあらかじめ小分けにしてあるものにするなどの対策が望ましいです。店側からすれば迷惑行為をする人たちのためにそんなことをするのは面倒かもしれませんが、迷惑行為をされ、炎上され、店にお客さんが来なくなったら・・・と考えると必要な対策なのかもしれません。
不用意に迷惑行為をしたりSNSアップすることで自分や企業、周りにどういった損害があるのかを理解せずに炎上してしまうケースが多いため、あらかじめ企業側でリスク研修を行い、しっかりやってはいけないこととその影響を明示することで従業員の不適切な投稿を防ぐこともできます。現在はSNSリスク研修を専門にした外部セミナーサービスもあり、もし企業側で教えるノウハウがなくても研修を行うことがでkます。
職場でスマホを使用したり、SNSを投稿する際のルールを決めておくことも有効的です。例えば勤務中はスマホをロッカーに入れる、動画・写真・音声の撮影禁止、スマホの使用や撮影を許可する場合でもSNSに投稿は禁止、それを破った場合の罰則(厳重注意・減給・解雇など)といった大まかな部分から細かい点まで制定することができます。
バイトテロは迷惑行為をしてSNSで注目を集めたり、身内ウケのために行われます。迷惑行為は目的ではなくあくまでも手段ですので、そういった行為を投稿できないとなれば、そもそも迷惑行為が行われない可能性が高くなります。
バイトなどの従業員の素行調査を行う場合、防犯カメラよりも小型カメラがよく使用されます。防犯カメラの設置は迷惑行為の抑止になりますが防犯カメラも一台ですべてが見渡せるわけではないため、お客さんよりも勝手を知っている従業員は上手く死角を見つけて迷惑行為をすることもあります。小型カメラは従業員に気付かれずに調査を行えるため、日ごろの勤務態度や素行の抜き打ち調査が可能です。
また、レジ金窃盗やバイトテロの迷惑行為などの疑いがある人物の証拠撮影にも向いています。証拠がないまま追及するとシラを切って反発したり、もしくは途端に尻尾を出さなくなってしまうこともあります。
バイトテロや客テロなどの問題を踏まえ、バイト雇用、新卒正社員や中途採用の雇用前に「裏アカ調査」を行う企業が増えています。裏アカ調査とは過去に犯罪行為や迷惑行為、不正、またはそれに近いことを行ったり、その内容がSNSにアップされていないかをアカウントを特定し判断するものです。現在は裏アカ調査の専門業者もあり、企業が自ら調べなくても精密に調査してくれます。裏アカ=裏アカウントは親しい友人のみで構成されることが多く、メインアカウント=表アカ、つまり公で表立っては言えないような本音や身内ウケ狙いの迷惑行為が投稿されやすくなっています。
ちなみに、裏アカ調査の専門業者では懸念事項の判定を4段階に分けており、何も懸念点がなければA、汚い言葉遣いをしている、周囲の繋がりに危険とみられる人物がいればB、局部を露出した写真を載せている、交通違反を自慢している、客テロ・バイトテロ行為はC、企業の新商品情報を漏洩していれば最悪のDと、かなり細かい判定がされているようです。
客やバイトによる一連の迷惑行為は「テロ」と揶揄されますが、実際は迷惑という言葉では済まされないほど被害は甚大なものです。そんなこともいざ知らず、SNSにアップしてウケたいという承認欲求か、「自分は大丈夫」と思う心が働くのか、その場の好奇心には勝てないのか、いくら判例が増えても次々と迷惑行為が行われSNSにアップされていきます。
逆に、「自分たちは被害に遭わない、大丈夫」とも考える企業・店舗も少なからずあるはずですが、かえってそういった油断が標的になる可能性もあります。
特に強盗犯罪ではよく言われていますが、犯罪は対策している場所よりも対策していない場所で行われる傾向があります。理由は逮捕される確率を下げる、楽に犯罪に及ぶためですが、客テロやバイトテロも同じように動画を拡散されても特定されにくい個人店などで迷惑行為を繰り返す可能性も十分にあり得ます。したがって、チェーン展開していない個人店でも起き得るということです。
実際、防犯カメラの設置がない個人店ではレジ金窃盗の被害に遭うことが多く、その時点で少なくともバイトテロとは無関係ではなくなってくるのが分かります。
SNSにアップさせない以前に迷惑行為に遭わないための対策をテロに遭う前にしっかり考えましょう。